日本顔学会関連の活動


顔学会連携Zoom ミーティング

「おいしい顔はどんな顔?」

日時:2023年10月31日19:30~21:30

 美人画研究会クリエイターの作品紹介から始まり、様々な角度から考察したスライド発表を行いました。顧問の原島博先生より感想とコメントを伺った後、顔学会の林純一郎先生より「おいしい顔はこんな顔」というおいしい顔の家族写真を集めたスライドをご紹介いただき、後半のディスカッションに入りました。
 おいしい顔は嬉しい顔、幸せな顔である、という多数派に対して、食べているときは無表情になるという意見やコメントもあり、活発な意見が飛び交いました。

 詳細を以下にまとめました。

 美人画研究会主催、顔学会連携のZoomミーティングを開催しました。7月の研究会時にメンバーが持ち寄った「味覚を感じる美人画」の作品紹介では、味覚による表情表出には反射的なものと脳で理解した後に表出する思考的なものがあること、「おいしい顔」には食べているときの顔、味わっている顔、食後まで継続する顔などがあることを、それぞれに対応する作品と合わせて松永がスライドで紹介いたしました。

 

 次にメンバーの河合直樹さんが、基本味覚に対応する色、形があることをスライドで紹介いたしました。大好きなお酒がテーマの美人画を描いた城戸崎雅崇さん(メンバー/顔学会)は、お酒にまつわる様々な人物表情を西洋絵画等からスライドにまとめられ、おいしいものを飲んでいてもおいしそうな顔をするとは限らないこと、おいしさは味覚だけではなく五感全てが関連していると発表されました。

 作品を描いた研究会メンバーの紹介を行いましたが、その際に斎藤忍先生(メンバー・顔学会)が「おいしい時は無表情」と話され、後からこの話題で盛り上がることになりました。

 

 次に松永伸子(メンバー・顔学会)が、「おいしい顔はどんな顔?」のスライド発表で、

●おいしい顔に決まりはないこと、

●おいしいと幸せそうな顔になるのはセロトニン等の脳内物質が関与していること、

●おいしさは様々な心理的影響や状況によって左右されること、
●おいしい顔についてAI と楽しいチャットをした内容等を紹介しました。

 

  原島博先生(顔学会/美研顧問)のコメントでは、「おいしい話には気をつけろ」というが、「おいしい顔には気を付けろ」となるといったいどんな顔だろうと思う。おいしさを決めるのは、味そのものよりも誰と一緒に食べるのか、誰が心を込めて作ってくれたのかである。おいしさとは人間関係を味わうことである、と話してくださいました。

 

「おいしい顔はこんな顔?」というスライドでお子さんのおいしい顔の経年変化を紹介してくださった林純一郎先生(顔学会)は、「おいしい」は主観的評価だが「おいしい顔」は客観的評価なので、機械学習による評価や生成AIで作成することが可能かもしれないと話してくださいました。

 

 後半は参加者によるディスカッションを行ないました。顔学会会長の菅沼薫さんの「おいしそうに見える顔はどんな顔だろうか?」という問いかけに、橋本憲一郎さん(顔学会)が「似顔絵作家にとってのおいしい顔はカンタンに描けるぞ!と思う顔」であり、先の原島先生の「おいしい顔には気をつけろ」の顔は「ニンマリ顔」だと話され、なるほどその通りだと思いました。


 今回参加くださったハウス食品の玉置麻理さんは「おいしさの見える化」に取り組んでいますが、個食と共食では表情が違うこと、共食の際はパフォーマンスとして口角が上がりニンマリする等の反応が見られると教えてくれました。また、馬場悠男先生(顔学会)は共食の意義を強調され、共食により感謝・満足・幸福感が得られておいしい顔になるのだと話されました。

 

 今井健雄さん(顔学会)は「おいしい顔はニンマリ顔だと思っているが、無言・無表情で食べている家族が多いので、斎藤さんの言うところの「無表情」にも賛成。」と言い、これに対して美人画メンバーの井手晴海さんは、「確かに無言でカニを貪り食うことがあるが、それでは美人画にはならない。絵にするときは笑顔の方が良い。」と返しました。

 

 メンバーの田中晃さん(メンバー・顔学会)は「おいしそうな顔とは喜びや幸せが滲み出ている表情」とされ、成瀬康人さん(メンバー・顔学会)は「おいしいと感じると表情が出る前に心の動きがあるが、心と顔は1:1ではなく状況により変わる。」と語り、河合直樹さんは「おいしい表情は食べた瞬間にセンサーが感じ取った最初の表情である。食べる前に出された色、形、彩りを「おいしそうだ」と感じる日本の文化を大切にしたい。」と話されました。城戸崎雅崇さんは「ソムリエやシェフはおいしさを味わっているのにまじめで真剣な顔をしている。」ことを指摘し、鈴木雅実さんは「おいしいものを食べている人を視聴者が見るという番組がある。」ことを教えてくれました。

 

 渡邊伸之先生(顔学会)は、おいしいものを食べると一人占めしたいという欲求から無表情になるという実験結果があること、相手に見せる社会的表情としての嬉しい顔があることを話されました。

 このように書き尽くせないほど様々な意見を出し合い、大変盛り上がったディスカッションになりました。顔学会の先生方からも、美人画研究会のメンバーからも、様々な貴重な意見をお聞きすることができました。ご参加いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。  (松永伸子)


フォーラム顔学2023 inつくばカピオ/筑波大学

会期:10月14日(土)・15日(日)

美人画研究会は、「ボーダーレスな美人画」というテーマの作品を展示いたしました。

 

美人画研究会のクリエイティブタイプの会で研究対象とした、多様な美をモチーフとした美人画を展示いたしました。特に202011月開催の「有色美人と20225月開催の「ジェンダーレス美人」の美人画作品をまとめて展示することで、「美人画」に対する固定観念や既成概念を取り払った、境界のない美を見ていただきたいと思いました。

 


顔学会連携

第3回美人画研究会・公開Zoomミーティング 開催しました!

 パート1は、美人画研究会の有志6名が7月に参加したマルイ有楽町店での展示販売会の報告と感想を話し合いました。マルイ7階の売り場を使った広いスペースに、招待アーティスト6名の美人画と一緒に作品を展示でき、クリエイターそれぞれの美人画表現をゆっくり見ることができて良かったということが、城戸崎雅崇さんをはじめ参加者・来訪者共通の感想でした。
 井手晴海さんが会場の様子をムービーにまとめてくださったので、皆でそれを見ながらマルイでの7日間を追体験しました。

 開催期間中に同時に行った「あなたの美人画描きます!」という席描きコーナーがあることで、場が盛り上がり楽しい展覧会にできた半面、名前の売れていない作家が絵を販売することは難しい、販売可能な価格やサイズを検討する必要があるという反省もありました。
 「席描き」はキャリア30年の似顔絵作家・吉村眞由美さんの提案で実施し、斎藤忍さん、宇田川のり子さんを含めた似顔絵作家さん3人と、美人画研究会クリエイティブ会を主催する松永伸子の合計4人が交代で美人画席描きを行いました。私は目の前にいる方を15分で色紙に描くということ自体が初めてのチャレンジでしたが、受け取ってくださった方の顔が笑顔になり喜んでくださることがとても嬉しく、吉村さんの手際よさなども見習いながらたくさんの方を描かせていただくことができ、とても楽しかったです。
 似顔絵は描く人の顔の特徴を誇張して描き、欠点を探すようなこともありますが、美人画に描く際には全く逆になるため、似顔絵作家さん達にとっても良いチャレンジになったそうです。
 顔を描かせていただいた麻生りり子さんからは、席描きは臨場感があり立体的、描かれる者も緊張するけれど、きれいに描いてもらって嬉しかったと話してくださいました。
 パート2では、斎藤忍さんに美人似顔絵に仕上げるコツ」のスライドを見せていただきました。斎藤さんは席描きはZoomでも可能かどうかを検証したムービーを、顔学会会長の菅沼薫さんのご協力で作成され、さらにYouTubeにもアップしてくださり、事前に私(松永)も検証に参加させていただので、今回はその結果発表となりました。
 結果としては、Zoomではスピーカービューにして描かれる人にしゃべってもらうこと、美人画的なポーズや表情を作ってもらうと良い、さらにYouTube にすることで時間制約なく描くことができるうえ、静止画にして描く際にも立体感のある残像が頭に残っているので、写真から描くより臨場感のある絵が描けるということになりました。
 ご協力いただいた菅沼さんからは、「ステキに描いてもらえるのはズルいと夫に言われたが、美人画を描く作家ごとに「美」の定義があるのだろうなと感じた」という感想をいただきました。
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※「美人画アラカルト」展示参加者 
 城戸崎雅崇さん、斎藤忍さん、井手晴海さん、吉村眞由美さん、宇田川のり子さん、松永伸子の6名(以上美人画研究会)
 招待作家:今福優子さん、太田あずささん、横山沙季さん、如月雫雪さん、ほさかまさとしさん、佐藤浩之さん

 協力:東観崎繚さん

以上13名でした。 


顔学会連携

第2回 美人画研究会 公開Zoomミーティング 

2022年6月16日(木)20:00~22:00

「思いを伝える表情・表現と美人画」

 6月16日(木)20:00から、第2回の公開Zoomミーティングを開催いたしました。
テーマは「思いを伝える表情・表現と美人画」です。

 パート1は顔学会との連携企画として、クリエイティブ会担当の松永伸子がゲストの方々から専門的なお話を伺いました。ゲストは非言語コミュニケーション研究者の新木美代さんと、能面アーティスト・脚本家の麻生りり子さんのお二人です。
 まず松永がスライドでテーマにあった美人画のスライドをお見せし、顔の表情や手の所作が表している感情表現についてお二人に伺いました。
 新木先生は、絵から感情を読み取ることは難しく、見る人の経験や「読み取る能力」によるところが大きいと話され、表情を豊かにするためには実際に身体を動かすことが大切だと教えてくれました。
 麻生先生は、能面の制作を通して様々な感情表現を研究されていますが、能面を木から彫り出す際に傾斜をつける目の角度により表情に「揺らぎ」(あいまいな中間表情)が生まれること、その能面を着けて演じる際の手の所作により様々な感情を表現できることなどを教えてくださいました。

 その後の参加者ディスカッションでは、日本と外国の文化の違いや最近の子供や学生たちのコミュニケーション能力についてにも話題が広がり、大変活発で楽しいZoomミーティングとなりました。


顔学会連携

第1回 美人画研究会 公開Zoomミーティング 

2022年4月2日(土)PM2:00~5:00に開催いたしました。

「顔を隠した美・美人・美人画」

 長引くコロナ禍により、美人画研究会でもリアル開催がなかなか実現しておりません。

そこで、地理的な条件を超えて繋がることができる便利なツール「Zoom」を使用してのオープンなミーティングを開催いたしました。

 

 第1部の「顔学会連携企画」は、化粧文化研究者ネットワーク高野ルリ子さん米澤 泉さんにご協力いただく形で実現いたしました。顔学や化粧文化、ファッション文化等に造詣の深いお二人をゲストに、美人画研究会の松永が美人画のスライドを紹介した後にお話を伺いました。

 高野さんからは隠れた部分を補完する人間の脳の機能や、平均顔を例にした魅力評価、美しさの加点要素などについてお話しいただきました。米澤さんからは、90年代後半から2000年代前期までの化粧で美人・美女になりたいという風潮が、デジタル美人の時代になり、現在ではインスタなどでファッションんを発信する際に顔はむしろ邪魔な存在にもなりつつあるということを話していただきました。

 そしてお二人から美人画研究会に対しての質問もいただき、活発な意見交換ができました。高野さんの<美人>と<美しい人>という時の違いは何か、どんなことを想像して描くのか、という問いや、米澤さんの<ルッキズム>や<外見差別>から<美人>と言ってはいけない社会になってきている現在、<美人画>はどうなのだろうか、という問いをいただきました。

 クリエイティブ会のメンバー(※)からは、自分たちが絵を描く際の姿勢や、横顔など顔の一部が隠れている人物を描く際の気持ちなどが語られ、<美人画>というジャンルについては、最近の言葉狩りに近い極端な現象で伝統が途切れてしまうことへの危惧や、<美人>という言葉も相手との人間関係を考慮して使う分には良いのではないか、<美人>は女性に限らない、という意見がありました。(※河合さん、斎藤さん、田中さん、井手さん)
 また、参加くださった解剖学の専門家・馬場悠男先生からは、横顔の美しさを骨格や肉付きの点から教えていただき、AI技術専門の鈴木雅実先生からは、表情から感情を読み取る技術は、人間が予想するレベルまではまだ進んでいないことなど、様々な専門的なお話を聞くことができました。
 今回のテーマの、顔の一部が隠れていることで魅力や好感度が増すということは確かですが、見えている部分も大事な要素であり、それを整えることにより見えてない部分の美しさをより高く想像できるということがわかりました。それは人物そのものだけでなく、背景や状況、ファッション、小物、センスの良さということになります。

 

 第2部は畑江麻里さんの浮世絵講座のお知らせと、井手晴海さんの先日開催された美人画展の報告をしていただきました。

 

 第3部はクリエイティブ会・次回の絵のテーマについてのディスカッションをいたしました。
 ●物語の登場人物の性格や場面を考えて描く美人画 (例)オペラの登場人物、源氏物語の登場人物など
 ●商品企画ならペルソナ、漫画ならキャラ設定を与え、それを考えて描く美人画
など、色々なテーマを与えていただきましたので、参考にさせていただきたいと思います。

 今回の「美人画研究会公開Zoomミーティングは、このように大変活発な意見交換ができ、学ぶところの多いものとなりました。ゲストの高野さん、米澤さん、そしてご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。


顔学会25周年記念シンポジウム
2021年3月6日(土)オンライン開催
★美人画研究会はインタラクティブセッションに参加しました!
→詳細はこちら


フォーラム顔学2019 2019年9月14日・15日/北海道情報大学

作品展示とポスター発表をいたしました!




フォーラム顔学2018 作品展示発表

 第23回日本顔学会大会(フォーラム顔学2018)では、特別講演(2)、口頭発表(19)、ポスター発表(21)、作品展示(14)、企業展示(4)、デモ発表(2)がありました。参加者は2日間で211名でした。

 

 美人画研究会は、作品展示とポスター発表で参加いたしました。

◆作品展示:文学作品から描いた美人画 9月1日、2日

◆ポスター発表:似顔絵と美人画の相違 9月1日

 

・日時:2018年9月1日(土)2日(日)
・場所:明治大学中野キャンパス(〒164-8525東京都中野区中野4-21-1)

日本顔学会HP詳細はこちら

 

多くの方に美人画研究会で作成した作品やポスターを見ていただき、貴重なご意見やお言葉をいただくことができました。

 

文学作品から描いた美人画

 松永伸子、城戸崎雅崇、田中晃、秋元和夫、斎藤忍、成瀬康人、東観崎繚、井手清彦(晴海)、河合直樹、相賀由紀子、林寛治 

同じ人が描いた絵でも、美人画を描こうとするときと似顔絵を描こうとするときとで随分顔が違うということに驚かれる方が多かったです。

また、描き手の意識の違いに着目したところが興味深いと言っていただきました。

似顔絵と美人画の相違

 美人画:左から 林寛治、城戸崎雅崇、田中晃、井手清彦、河合直樹、松永伸子、相賀由紀子、秋元和夫 

 似顔絵:1段目左から 林寛治、城戸崎雅崇、田中晃、秋元和夫

     2段目左から 井手清彦、河合直樹、松永伸子、相賀由紀子

指導:斎藤忍(赤枠の似顔絵)※似顔絵の2代目TVチャンピオンでもあります!

モデル:秋元美絵(写真)


フォーラム顔学2016作品展示発表

日時: 2016年11月19日(土)、20日(日)
場所: 東京芸術大学
第5回~8回の美人画研究会の際に実施した「美人シリーズ」で、皆様に描いてきていただいた4名の女優さんの美人画を発表いたしました!
B2サイズのパネルに、女優ごとに作品を並べて貼り、使用する画材や描き手の理想化の違いで様々な美人画が出来上がることを表現いたしました。

絵の作者名(敬称略)

 

●原節子を描こう! 

 松永伸子、城戸崎雅崇、福富大介、川口哲生、石居寧、小川りえ、

●吉永小百合を描こう!

 田中晃、城戸崎雅崇、松永伸子、成瀬康人、相賀由紀子、池袋絵意知、

●長澤まさみを描こう!

 松永伸子、城戸崎雅崇、小河原智子、田中晃、秋元和夫、松本英孝、井手清彦、星の子教室の生徒さん達

●綾瀬はるかを描こう!

 松永伸子、城戸崎雅崇、小河原智子、池袋絵意知、濱中理恵、井手清彦、秋元和夫、田中晃、相賀由紀子、成瀬康人

 


フォーラム顔学2015ポスター発表

美人画研究会は、日本顔学会の公認サークルとして活動しています。2015年9月のフォーラム顔学2015名古屋大会では、「美人画研究会の活動内容」をまとめたポスター発表を行いました。顔学会に参加されている多種の分野の会員さん、学生さんに「美人画研究会」を知っていただく良い機会となりました。

フォーラム顔学2015 名古屋大会で、美人画研究会の活動内容をポスター発表しました。

2015年の研究発表担当者名: 松永伸子、畑江麻里、小杉健、比嘉飛鳥、鈴木雅実


フォーラム顔学2013 口頭発表

小説から見つけた笑顔 ― 文字から画像に・画像から言葉に ―:松永 伸子


フォーラム顔学2010 作品展示
D-03 美人似顔絵についての考察 
松永伸子 
現代の美人似顔絵を100枚描き、そこから得られた内容を考察。

●似顔絵にはポートレート似顔絵とカリカチュア似顔絵の2種類がある。

さらに来場者にアンケートを実施しました。